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金利の低い流通系クレジットカード

女性を中心にカード発行枚数が増えている流通系クレジットカードです。ここで10万円借りて翌月返済すると、セゾンカードの金利は24・0%ですから利息は1ヵ月で1972円、丸井カードの金利は27・0%で2210円となります。これは銀行系無担保ローンの約4倍もの利息となり、高利といわれる消費者金融と比べてもその差はごくわずかです。ちなみに、大手消費者金融で10万円を1ヵ月間借りると、武富士の金利は27・3%で、利息は2280円、プロミスの金利は25・5%で2129円となります。そして、さらに金利が高い銀行系クレジットカードで同様に借りると、JCBの金利は27・8%で、利息は2319円、アメリカンエクスプレスの金利は29・2%で2430円となっています。

10万円という比較的少額の借入れで短期返済なら金利は高めですが、消費者金融はもっとも使い勝手がいいといえます。消費者金融はATMの台数が多いので借りるときも便利ですが、返済時も同様にATMを見つけやすく、24時間いつでも返済できます。もし返済方法が不便で店舗やATMが少ないと、わざわざ時間をつくって当該の場所まで行かなければなりません。それで1日、2日と返済が延びれば、それだけ利息が増えてしまいます。このような事態は、お金を借りる側にとってどうしても避けたいことです。しかし、消費者金融にしろ、クレジットカードにしろ、金利がまだまだ高いことは事実です。貸出金利は法定金利ぎりぎりで、お金を貸す側にはいいビジネスでしょうが、お金を借りる側からすればとても良心的とはいえません。

金利の高いところから安易な借入れをするのは絶対に避けるべきなのです。どうしてもお金を借りたいというときには、できるだけ金利の低いところを選んで計画的な返済をしたいものです。たとえ、1日でもこのような利息が付きますので、のんびり1ヵ月後に返済しようとすると大変な金額になってしまいます。とにかく、無担保ローンやキャッシングを利用する場合は、つねに金利と支払利息を頭に置き、安易な気持ちで借り続けることは避けたいものです。業者側でもコマーシャルで「ご利用は計画的に」といっているくらいです。そこで、一ヵ月後の利息も比べてみました。一ヵ月後の利息を安い順から並べると、もっとも安い利息ですむのが、銀行の無担保ローンで、どこも数百円ぐらいです。一定期間無利息ローンは、期限が過ぎれば28・8%の金利が付きます。

したがって、NOLOANの場合、利息分は1817円、ユアーズのキャッシングの利息分は1586円へと跳ね上がります。銀行の無担保ローンは翌日から利息がかかりますが、もしも1ヵ月後しか返済できないと初めからわかっているなら、銀行の無担保ローンを選んだほうが賢明です。ただし、初回は審査に1週間ほどかかりますので、急なキャッシングには不向きです。審査時間が最短30分ですむ銀行系消費者金融は使い勝手はいいのですが、一力月借りた場合の利息は1479円と、銀行の無担保ローンと比較して3倍の利息になります。しかし、「消費者金融を利用するのはちょっと抵抗があるけどすぐにお金を借りたい」という向きは、「銀行系」というブランドカになんとなく安心感を感じて、融資を申し込んでいるようです。

カード犯罪は刑法改正で厳しい罰則

カード犯罪で多いのは、スポーツクラブやエステ、サウナで汗を流していたり、からだをマッサージしてもらっている間にロッカーを開けられ、背広のポケットから財布を取り出し、そのなかのカードをスキミングされるというケースです。窃盗カードの不正使用の場合は、盗まれた所有者が気づいて警察などに通報することができますが、スキミングは本人が気づかない間にカード情報だけを盗まれ、カードそのものはなくなっていないだけに、被害に気がつくのは請求書が来てからということになり、通報が遅れることになります。

また、不正使用が明らかになった場合は、たいていは保険でカバーされることになるので、カード所有者は原則的には被害を被らないことになります。さらに、偽造カードを使用された加盟店も、カード会社からは代金が支払われるので警察に被害届を出さない場合が多く、実際に警察が認知するに至るケースは全体の2%程度にすぎないといわれます。カード所有者と加盟店に実害が少なく、被害を受けるのがもっぱらカード会社や金融機関というのも現在の偽造カード犯罪の特徴で、この被害がカード会社の経営を大きく圧迫しています。じつは、最近まで日本ではスキミングの行為そのものは違法とされていませんでした。

カードを窃盗したり、偽造カードを作成、使用した場合は罪に問われましたが、情報だけを抜き取ったり、偽造カードを持っているだけでは罪にならなかったのです。2001年6月に刑法が改正されて、やっと偽造カード所有やスキミング行為も刑罰の対象となり、これによってカード犯罪の減少を期待する声もあります。しかし、カード情報を読み取られないようにする、また本人確認を徹底するなど根本的な対策がなければ効果はないという意見が有力です。

脅威となりつつある異業種参入組

最近は、年会費無料カードを発行するライバルがたくさん出てきたため、その面での優位性は薄れつつあります。このところ頭角を現しつつあるのが、ソニーファイナンスインターナショナルや武富士などの異業種参入組です。こちらは豊富な資金力をバックに、年会費無料のスキームで攻めてきています。とくに武富士などは、最初からクレジットカード事業での収益などそれほどあてにしていませんから、もちろん年会費無料で攻め立てています(しかも加盟店手数料は1%という破格の利率)。これらの新規参入組は、既存のカード会社などだけでなく、いまや勝ち組のクレディセゾンなどにとっても脅威になっているのが実情です。オリエントコーポレーションがショッピングモールや居酒屋と組んで発行するイクスピアリカード、モンテローザカードなどは、最高2000万円までの海外旅行傷害保険が自動付帯になり、このカードに加入しておけば、わざわざ空港で傷害保険をかけることなく、自動的に旅行傷害保険が付いてくるというお得なカードです。

無料で保険に加入できるのですから得するカードといえますが、その保険料はカード会社か提携先の店が負担しなければなりません。年会費分は提携先が負担するケースが多いようです。保険料はどちらが負担するにしろ、カードの発行枚数が多くなければ元は取れません。一方、銀行系カード会社が手がけているのが、Arubara(JCB)のタイプです。これは月に5000円+利息さえ払っておけば、返済がクリアされるというリボルビング専用カード(リボガート)で、「いつでも」「どこでも」「いくらでも」返済できる便利なカードです。基本はミニマムペイメント方式の米国のカードなのですが、特典はどんな買い物でも2倍のポイントが付き、年会費は無料となっています。

2001年夏にArubaraが登場すると、それ以降、フリーボ(UC)、マイペイす(三井住友)、ジザイル(DC)、ポケット・ワン(UFJ)と似たしくみのカードが銀行系カード会社から続々発行されました。最近は信販系、流通系も競って発行しています(じつは、ポケット・ワンはArubaraより早く発表されましたが、話題づくりでJCBのほうがうまかったので、支払自由型=Arubaraとなったという裏話もあります)。銀行系カード各社が熱心なのは、このカードならリボの金利収入(13%以上)が入るので、年会費無料にしてもやっていけると判断しているからです。このスキームを使うことで、銀行系もやっと年会費無料カードをおおっぴらに発行できるようになったというわけで、その意味でも画期的なカードです。しかし、すでに2年以上たちましたが、実際の利用は少ないようです。PRに力を入れているArubaraでさえまだ40万枚が発行されているにすぎません。

しかもその使い方は、引落日までに利用金額を振り込む一括払いが多く、2倍のポイントだけを狙っているというのが実情のようです。カード会社としたらたまったものではありません。このほかにも、年会費無料カードはさまざまなバージョンが登場しています。初年度無料というスキームも流行しています。最近は特定の場所で1回だけ使えば、また翌年も無料にするという、ほとんど無料に近い初年度無料カードも数多く出てきました。阪神エメラルドJCBカードなどがそうですが、こうしたカードもカード会社は年会費獲得は実質諦めているわけで、あまり嬉しくないカードといえるでしょう。その一方で、年会費無料が重荷になってサービスを中止するカード会社も登場し始めました。アコムがその1つです。同社は、2003年12月に女性専用の「アコムカプリッチョゴールドカード」の新規募集を終了したと発表しました。同カードは、年会費無料カードの女王様のようなカードでしたから、とても残念です。あまりに豪華な特典を付けすぎたせいで、撤退に追い込まれたのでしょう。

クレジットカードは「使ってもらってナンボ」の世界

このカード利用の頻度を測る数字が「稼働率」と呼ばれるもので、年1回使われるカードが全発行枚数のうちどれくらいあるかで判定します。銀行系カードは稼働率が低く、20~30%くらいといわれます。それに対して流通系力ードは50~60%はあります。流通系カードは、グループ傘下のスーパーで日常的に使われる傾向が強く、稼働率もアップするのです。

イオンカードなどは稼働率が60%を超えています。つまり、発行するカードのうち、60%のカードが年1回以上使われているわけで、発行したカードがムダになっていないことを証明しています。稼働率が高ければ、それだけカード会社の収入も安定します。ですから、カード会社は毎日使われるメインカードにしてもらおうと、系列を越えたネットワークやさまざまなサービスを考案し、プロモーションを行います。メインカードの地位を獲得して高い稼働率を得ることができれば、カード会社ほど「黙っていて儲かるビジネスはない」といえるでしょう。

以上、カード一枚のコストについて述べてきましたが、このほかにもカード事業を展開するには、じつにさまざまな経費がかかります。新規入会者にカードを送る以外にも、定期的に利用明細書を発送するには、必ず郵送費がかかりますし、入金の督促や在籍確認には電信費がかかります。テレビや新聞の広告や会員誌発行にかかる宣伝広告費、さらには提携先銀行でのATM利用にかかる手数料など、数え上げたらきりがありません。そのなかでも大きな割合を占めるのが人件費と支払金利です。銀行に準ずる給与体系を持つカード会社も多く、どの会社も毎月の人件費はかなりの負担になっています。

そのため、極力、正社員の数を減らし、コールセンターや会員募集業務など、現場のラインでは派遣社員やパートに置き換えています。さらに、ローンやキャッシングの原資になる資金を金融機関から調達するのですが、その支払金利も支出項目のなかでは大きな比率を占めています。借入金利も次第に上昇傾向にありますから、今後、経営圧迫の要因になってくるでしょう。カード会社はスワップをかけたり、貸付金の証券化、ワラント債などでリスク低減に努力していますが、どこまで防衛できるか、不安な要素も抱えています。

提携カードや業務代行による儲け

ところで、クレジットカード会社の儲けのしくみですが、それは年会費収入」「キャッシング金利収入」「加盟店手数料収入」「分割・リボ払い手数料収入」の4つからなります(リボ払いはリボルビング払いの略。以下同じ)。このほかにも、提携カードを発行した場合、カード会社が提携先企業から受け取る「提携カード手数料」や、他のカード会社の委託を受けてカード関連事業を代行する「業務代行手数料」、コンピュータや通信回線を他のカード会社に利用させる「システム関連手数料」、会員向けに発行する「会員誌購読料」などがあります。ですが、全体からみればこれらの割合は小さく、先に述べた4つの柱が中心となっています。

ところで、系列ごとに各事業の収益比率はかなり異なっているといえます。銀行系カード会社の場合には、「年会費収入」「キャッシング金利収入」「加盟店手数料収入」がともに3割ずつのイーブンで、「分割、リボ払い手数料収入」が1割ほどとなっています。これに対して、信販系、流通系カード会社は、ともに「キャッシング金利収入」が6割近くと、とくに高いのが特徴です。しかし、これほどさまざまな収益源を持っているにもかかわらず、クレジットカード事業は「儲からない」といわれています。

とくに消費者金融専業者と比較すると、儲けの効率の悪さ(低収益性)は際立っています。それは、消費者金融が調達金利と貸出金利の差が「儲け」になるのに対して、クレジットカード事業の利益は、利用額の2~3%の加盟店手数料が中心だからです。たとえば、消費者金融トップの武富士と信販系カード最大手の日本信販の儲けの大きさを比較してみると、2003年3月期、武富士では営業収益の43・4%が経常利益として残っているのに対して、日本信販の場合は6・5%にすぎません。消費者金融業者と比べると、カード会社の薄利ぶりが際立ちます。

ソフトバンクグループ・ヤフーの金融戦略

インターネット企業の中では並ぶ者のいないビッグプレーヤー、ソフトバンクグループ。特にヤフーの銀行参入は、クレジットカード業界でも大きな脅威になるでしょう。

パソコンソフトの流通卸業からスタートしたソフトバンク(SB)ですが、同社は純粋持株会社となり、その傘下に事業分野ごとの中間持株会社があり、さらにその傘下に事業会社を配置する三層の組織構造を形成して複雑な企業グループとなっています。SBグループの金融部門は、SBインベストメントを中核会社にしているSBIグループですが、ノンバンクとしてはここに消費者金融「イコールクレジット」、ヤフージャパンに「ヤフージャパンカード」があります。

SBグループの中で最も身近な存在は、インターネットポータルサイト最大手の「ヤフー」でしょう。延べ人数にして、毎日1億人以上がアクセスするこの巨大サイトは、インターネットショッピンクの草分けでもあります。また、ヤフーはSBグループの売り上げにも大きく貢献しています。05年3月期の売上高を見ると、グループの売上高8370億円に対して、ヤフーは1177億円と14%のシェアを占めています。単なる売り上げだけでなく、グループがいま最も力を入れるブロードバンド事業に不可欠な企業であることを考えると、その貢献度は計り知れないものがあります。ヤフーの売り上げ構成のうち、オークション事業が273億円、ショッピンク事業が105億円で、合計378億円です。利益の32%が決済ビジネスから生まれています。

これだけの集客力を誇るヤフーですから、クレジットカードはVISA、マスター、JCBのほか、信販各社ともカード提携を結んでいます。ヤフーオークションでは、自宅や会社にいながらオークション落札代金の支払い・受け取りが簡単に行える便利なサービス「ヤフー かんたん決済」という独特の決済方法を持っています。落札してもお互いが口座情報を教える必要のないセキュリティを考えたもので、ネットバンキング決済ならば手数料は198円で、取り扱い金融機関も増加しています。

05年1月、ヤフーはあおぞら銀行とインターネットバンキングで業務提携を結びました。その内容は、あおぞら銀行の子会社であるあおぞら信託銀行とヤフーが共同で設立するネット専業銀行です。「ネット専業銀行としてトップを目指す」とヤフー・井上雅博社長は語っていますが、設立は06年になりそうです。あおぞら銀行は、ソフトバンクがオリックス、東京海上とともに一時筆頭株主として経営に参画し、その後SBが保有株を米投資ファンド・サーペラスに売却した経緯があります。

インターネットポータル最大手のヤフーがネッ卜銀行を保有すれば、決済機能は厚みを増します。楽天など他のライバルに少なからぬ影響を与えそうです。

なぜ彼らはクレジットカードを発行したいのか

交通系やメーカー系の企業が、なぜクレジットカードに進出したのでしょうか? そのカギは顧客情報にあります。情報がビジネスの成否を決める時代だからです。

流通系クレジットカードの勃興を横目に見て、交通系やメーカー系の企業がイメージしたのは、自社の顧客情報を生かしてさらに商品を販売できないだろうか、ということでした。流通系企業がPOSシステムの導入によって販売管理ができるようになり、そこからクレジットカード事業が必然的に派生したように、80年代前半はコンピュータの性能が向上したことも追い風になっているのです。

金融機関は預金や融資のオンライン処理をスタートさせ、子会社として開始したクレジットカード業務はすでに10数年が経過していました。86年に旧日本信販がVISAカードを発行するなど、信販業界でも本格的なクレジットカードの時代に入ったころです。銀行系クレジットカードは業務のシステム化か進み、今度は長年にわたって投資してきたシステム経費の回収のために、そのシステム自体を売り物にすることを考え始めていました。

交通系やメーカー系が新規参入しても、先行している銀行系クレジットカード会社のような巨費を投じなくて済む土壌が80年代後半にでき上がりつつあった、というのが彼らのクレジットカード進出につながりました。

たとえば、トヨタは自動車販売だけでなく、住宅販売やレンタカーも展開していて、事業の裾野は幅広いものがあります。自社で手掛けるすべてのビジネスに共通するのが、決済イコール金融なのです。JR東日本は国内最大の鉄道会社であり、JALも昔からの「ナショナルフラッグ」です。

会員獲得は知名度が生命線です。業界最大手の各社が、そのネームバリューを利用しなかったというのがむしろ不思議なくらいです。

こうした「第3勢力」のクレジットカード進出は、言い換えると顧客の囲い込みでもあります。クレジットカードの最大の強みは、個人情報が蓄積できる点です。しかも、そのなかに利用者の懐具合や購買動向などが詰め込まれているので、これを逃す手はありません。

いま銀行系クレジットカードでは、銀行本体での発行が増えつつあります。それは、これまではクレジットカード会社が子会社だったために、個人情報の共有が許されず、本体業務に取り込めなかったからです。本体発行すれば、個人信用情報は銀行が保有できます。情報は整備されてこそ、初めて武器となります。

近年、よく使われる「CRM」(顧客管理)も、個人情報が体系化されていなければ有効活用できません。いずれも業界最大手クラスの企業のクレジョトカード事業は、既存業者の強力なライバルとなっており、彼らを軸にした業界再編の可能性も否定できません。

流通系クレジットカードの売り場を持つ強み

流通系クレジットカードは、スーパーや百貨店などの小売り企業が親会社だけに、使われる頻度の高い力-ドとして、安定した業績が見込めるメリットがあります。

流通系クレジットカードの源流をたどっていくと、「月賦百貨店」から出発した会社と、大手スーパーが新たな収益源として金融部門を設立した会社という二つの潮流があります。前者にはクレディセゾンや丸井、後者にはイオンクレジットサービス、ポケットカード、オーエムシーカード(OMC)が位置しています。

セブンは76年、西武百貨店が月賦百貨店の「緑屋」の経営に乗り出し、西武クレジットを設立しました。丸井は戦後まもなく、自社の百貨店で月賦販売を開始していましたが、60年に「丸井のクレジット」というコピーを編み出し、国内で初めて「クレジット」の名を世に送り出したと言われています。

イオンは81年、「日本クレジットサービス」の社名でカード事業に進出しました。ポケットカードは翌82年に、やはりスーパー大手のニチイが「ニチイクレジットサービス」を作ってカード事業に進出しました。OMC力-ドは、75年にダイエーが設立した朝日クレジットが最初ですが、84年に月賦百貨店の「丸興」と合併して本格的にクレジットカード事業を開始、87年にダイエーファイナンスができました。

月賦百貨店が一方の源流だけに、信販会社との結びつきは古く、クレジットカード事業の進出以前は信販との提携カード(当時はクーポン形式)で月賦(割賦)販売をしていたといわれています。

大手小売業がクレジットカードに進出した背景には、業務のシステム化の進展があると言われています。70年代後半にかけて、スーパーのレジにPOSシステムを導入する企業が増加しました。

POSは「販売時点情報管理システム」と呼ばれるように、販売活動をシステム管理することです。POSにおけるシステム構築の発想が顧客管理と結びつき、信販会社に頼っていたカード決済を内製化し、新たな金融収益がもたらされると考え、自社カード発行に至ったのです。

銀行系であれ信販系であれ、クレジットカードは使われて初めて利益が出るビジネスです。流通系クレジットカードはその点、小売りの現場を持つ強みがあります。スーパーのレジでカードを提示すれば、キャッシュレスで日々の買い物ができるうえに、ポイント還元も家計を預かる主婦には好評です。

力をつけてきた第3勢力~交通系、メーカー系、百貨店系

銀行系、流通系に加えて、近年業績を伸ばしているのが、交通系やメーカー系のクレジットカードです。集客力の高い親会社のもとで、売り上げを伸ばしています。

交通系やメーカー系のクレジットカードの設立時期を見ると、流通系クレジットカードが次々に設立した80年代前半以降に集中しているのがわかります。このことは、小売業が親会社の店舗に集まる利用者を対象にクレジットカード業へ進出したように、彼らも多数の顧客を保有しているので、新規参入すれば必ず収益が見込めるとの判断が働いたからです。ときはまさにバブル経済に突入する時期であり、国民の消費意欲が旺盛な時代でした。

カード業界に詳しい、ある関係者はこういいます。「消費者の心理というのは不思議なもので、資金に余裕があれば取り崩したくないからカード決済する。金がない場合は、必然的に後払いのカードを使う。どんな経済的な状況でも、クレジットカード業というのははやりすたれのブレが少ない」

ここ数年続く長期不況において、こうした見方はやや否定的にならざるを得ませんが、それでも不良債権を抱えた企業を除いたクレジットカード会社は、おおむね堅調な業績を維持しています。

JALカードは、搭乗距離に応じてポイントが貯まる「マイレージ」が売り物です。キャッシングはできませんが、ショッピンク利用額がマイル換算されるので、海外旅行を好む人には人気が高いカードです。旅行傷害保険付きなのも魅力です。

トヨタファイナンスは88年、トヨタ自動車の財務部が分離独立して発足したもので、豊富な資金力を背景に急成長、クレジットカード業界では脅威の存在になっています。

高島屋クレジットは、高島屋でのカードショッピングでは8%と高いポンド還元率を提供しています。伊勢丹カードは、系列店のみで使えるハウスカードです。出光クレジットは石油元売り大手の出光興産と流通系クレジットカードの雄・クレディセゾンが50%ずつ出資しており、カード業務はセブンに委託しています。JR東日本カードはビューカード、ビュー・スイカカード、ルミネカードなど複数発行しており、特にプリペイドカードでもある「スイカ(Suica)」は、家電量販店をはじめ各所で使用範囲が拡大しています。

こうした「第3勢力」が台頭してきた背景には、銀行系、流通系クレジットカード各社がカード業務全般を請け負う受託業務を始めたことが大きな要因のひとつになっています。両社が業務処理で結びつくと、その次にはカード提携にまで発展し、お互いにメリッ卜のある関係が構築できるからです。反面、自社カード発行にこだわれば、システム投資や加盟店獲得などで負担が生じ、それを補うだけの収益性が求められます。

「流通系」の看板下ろしたポケットカード

05年に旧マイカルとの業務提携を解消したポケットカードは、「流通系」の看板を下ろし、今後は伊藤忠グループとの関係を深めながら、経常利益100億円を目指しています。

ポケットカードの前身は、82年に関西系のスーパー大手ニチイが設立した「ニチイクレジットサービス」です。90年にニチイは店舗形態を二つに分けました。30歳代をメインターゲットにした「サティ」と、20歳代の利用者を当て込んだ「ビブレ」へと転換し、94年にカード会社はマイカルカードに社名変更しました。96年には、親会社が社名をマイカルに変更しました。しかし01年9月、メインバンクの第一勧業銀行(現みずほ銀行)が金融支援を打ち切り破たんしました。マイカルは会社更生法を申請し、同業のイオンが再建に乗り出し、マイカルはイオンの子会社になりました。

マイカルカードは、消費者金融大手の三洋信販が買収し、社名も三洋信販が愛称として使っていた「ポケットバンク」にちなんでポケットカードと改められました。ポケットカードは当初の数年間、三洋信販のオーナー・椎木正和会長が一時社長を兼務したり、外部から招聘した社長が短期間で辞任したりするなど、経営陣が不安定でした。

また、複雑なことに、破たんしたマイカルがイオンの支援を受けたことから、イオングループのクレジットカード会社であるイオンクレジットサービスが「サティ」「ビブレ」のカード発行を開始。一方で三洋信販が買収の際、マイカル店舗での営業展開を取得条件としたため、旧マイカルの店舗では両社が並存してカード会員の勧誘をする現象が起きました。しかし、ポケットカードは05年12月にマイカルとの業務提携を解消しました。それに先立ち、ポケットカードは05年10月からカードの名称を「P‐ONEカード」に変更しました。

ただ、同社のカード特典として、ワーナー・マイカル社が運営するシネマコンプレックス「ワーナー・マイカル・シネマズ」では300円の割引優待が付与されるように、旧マイカルとの縁がまったく切れたわけではありません。しかし、05年に旧マイカルが更生終了したため、同社との基本契約も終了した結果、これからは流通系クレジットカードとして生き残るのは困難です。

そこで新たなパートナーとなるのが、03年に資本・業務提携した伊藤忠商事グループです。伊藤忠商事の傘下であるコンビニ大手ファミリーマートのクレジットカード子会社「ファミマクレジット」の消費者ローンの保証業務提携など、両者の関係は深まっています。また、親会社の三洋信販が持つ消費者金融ノウハウを活用したクレジットカードの利用率向上などに力を注いでいく意向で、経常利益100億円の早期達成を目指しています。

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